コラムでは、筆者が個人的な見解をもとに自由に偏見を伴って語らせていただきます。
こんにちは。aregaです。
前回の続きです。残りの衛星をざっくりと紹介します。
②プロイテレス衛星2号機 : 大阪工業大学
大阪工業大学が製作する衛星です。初号機であるプロイテレスはリンク先参照で。
この二号機では「電気推進機のの(原文ママ)一種であるパルスプラズマスラスタ((Pulsed Plasma Thruster : PPT)を用いて、高度(筆者追記)200~400kmの動力飛行(地球低軌道からロケット連続噴射により軌道上昇を達成)を実現」ということをメインミッションに掲げています。PPTとは簡単な構造で軽量なスラスターです(詳しくは大工大のページにあったpdf、JAXAの研究ページなどを参考)。これを使って人工衛星の軌道の高度を上げようというミッションです。
選定理由を見てみると、「宇宙活動に必要な技術であり、デブリ(宇宙のごみ)対策にも有効」と書かれています。というのも、超小型衛星は超小型であるために基本的にスラスターを積む余裕がありません。そのような衛星は一度打ち上げられるとずっとそこを回っていますが、使いたい高度や軌道はある程度決まっているので、その軌道がどんどん混雑していくことになります。運用が終わったらジェット噴射でそこから抜けるようにすると後の衛星にとても優しいのです。
初号機では通信不良でメインミッション達成とはなりませんでしたがリベンジ頑張ってほしいものです。
③地球低軌道環境観測衛星「てんこう」 : 九州工業大学
九州工業大学が製作する衛星です。
低軌道地球環境観測惑星じゃないのかな、と最初は思ったのですがミッションを読んでみると電離圏(地球の周りにある層)の観測を行うそうです。
2020年頃に活動が停滞期に入るとされる太陽活動の変化による電離圏環境や大気圏環境に対する影響を調査することをミッションとしています。また、先進材料の宇宙環境耐性の調査も行います。熱可塑性CFRPみたいです。
④AO-stars : 静岡大学
静岡大学が製作する衛星です。上までのものとは違って1Uサイズと書かれています。恐らくこれと同じ形式だと思われるので、10cm × 10cm × 10cmという本当に超小型の衛星です。
プレスリリースでは「星空の天体観測を目的とした 10cm 立法の超小型衛星です。宇宙の天文台とされるハッブル望遠鏡などとは異なり、“AO-stars”は宇宙の家庭用望遠鏡といえます。超高感度カメラを搭載し、大容量の撮影データをアマチュア無線で地球に伝送することにより、幅広い人が手軽にAO-stars撮影画像を受信できることを目指します。」と書いてあります!面白そうです。
情報がまだあまり出ていなので以下の新聞記事なども参考になるかもしれません。
AO-stars:静大の超小型衛星、宇宙へ 来年度、JAXAロケットに搭載 鮮明な星空の写真撮影 /静岡 - 毎日新聞
⑤AUTcube : 愛知工科大学
愛知工科大学が製作する衛星です。先ほどと同じ1Uサイズです。
ミッションは以下の四つです。「目で見る人工の星、720度宇宙撮影、超低電力宇宙通信影、宇宙電波環境調査」。選定理由で述べられているのは主に一つ目ですね。LEDを搭載して六等星よりも明るい星になるらしいです。また光通信の試験も行います。
加えて、魚眼レンズを二つ搭載し、VR映像の作成にも挑戦するそうです。
夜空に星や流れ星を増やすような活動には賛否両論がありますが、JAXAは結構分け隔てなく支援している印象があります。
以上、GOSAT-2/Khalifasat相乗り超小型衛星でした。
超小型衛星は失敗するリスクが高い反面、失敗を許容した尖った設計が出来るので調べてみると面白いですね。
大阪工業大学のプロイテレス衛星2号機のように失敗してもまたチャンスが巡ってくるのもとてもいいところだと思います。
ミッションの成功を祈ります!